溺愛ドクターは恋情を止められない
「あぁ。子供が生まれて辞めてしまったんだけどね」
院長は私の想像していた人とは違った。
もっと偉そうにふんぞり返っているのかと思いきや、私達と変わりないように見える。
「ただ……」
困ったような顔をして口を開いた院長は、高原先生に視線を送る。
「小柴部長ですか」
「そう、だ」
奏多さんがそう聞いたとき、私の懸念していたことが当たっていたと確信した。
小柴部長の娘である酒井先生と別れたのだから、怒っているに違いない。
「君達は、真剣に付き合っているんだね」
「もちろんです」
「そりゃそうか」と笑う院長は、あごに手を当て私を見つめる。
「高原君は、腕もいい。将来、この病院を背負って立つほどのドクターになると、私は期待している」