溺愛ドクターは恋情を止められない
「イヤ……」
彼の白衣を握りしめ、首を振る。
どうしてこんなに力がないのだろう。
私には大切な人を守るどころか、傷つけることしかできないの?
「都。院長が二年で戻してくれるって言っただろう? 本当はもう心臓血管外科は諦めるつもりだったんだ。十分、ありがたいんだよ」
退院したばかりの時、奏多さんと鉢合わせした小谷先生が『それなりの覚悟があってのことだな』と口にしたけれど、これほど大変なことになるとわかっていなかったのは、私だけなの?
「俺はお前を諦めるつもりはないんだ」
ひんやりとした踊り場の空気が、私を突き刺してくる。
「大丈夫だ。俺は必ず這い上がる」
「奏多さん……」
ようやく落ち着きを取り戻し、そっと離れると、彼は微笑んでいた。