溺愛ドクターは恋情を止められない
「清春、来い!」
奏多さんはまるで自分の子のように彼をかわいがる。
駆け寄った清春君を空高く抱き上げ、肩車をした。
体の小さな清春君は、体重もまだ幼稚園児並み。
「都、高いでしょー」
「ホントだ。届かない!」
誰かの笑顔は、幸せをもたらしてくれる。
奏多さんの隣を歩くと、本当の親子の様で少し照れくさい。
「都、荷物重くない?」
「大丈夫です」
彼の治療してくれた左手は、よく見なければわからないほど、きれいになった。
広場に到着すると、清春君と奏多さんは早速滑り台に走り出す。
私は木陰を見つけて、シートを敷き、弁当を下ろした。
「トンボ……」
初秋とはいえ、まだ暑い盛りなのに、トンボが目の前を横切った。
奏多さんと出会って半年。
まだふたりで過ごした時間は短いけれど、とても充実している。