溺愛ドクターは恋情を止められない

「清春、来い!」


奏多さんはまるで自分の子のように彼をかわいがる。

駆け寄った清春君を空高く抱き上げ、肩車をした。
体の小さな清春君は、体重もまだ幼稚園児並み。


「都、高いでしょー」

「ホントだ。届かない!」


誰かの笑顔は、幸せをもたらしてくれる。
奏多さんの隣を歩くと、本当の親子の様で少し照れくさい。


「都、荷物重くない?」

「大丈夫です」


彼の治療してくれた左手は、よく見なければわからないほど、きれいになった。

広場に到着すると、清春君と奏多さんは早速滑り台に走り出す。
私は木陰を見つけて、シートを敷き、弁当を下ろした。


「トンボ……」


初秋とはいえ、まだ暑い盛りなのに、トンボが目の前を横切った。

奏多さんと出会って半年。
まだふたりで過ごした時間は短いけれど、とても充実している。
< 388 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop