溺愛ドクターは恋情を止められない
それに、これほどまでに心を通わせられる人に、初めて出会った気がしていた。
あと一週間で、彼は渡米してしまう。
もう野上総合での勤務もあとわずか。
院長の推薦をありがたく受けた私は、ギリギリまで仕事をしながら、看護の勉強をすることにした。
現場で見て覚えるのが一番だと奏多さんが言うから。
やがて、滑り台を満喫したふたりが帰ってきた。
「ねぇ、見て見て。トンボがいるよ!」
興奮気味に報告すると、清春君はなぜだか呆れ顔。
「当たり前だよ。オニヤンマは夏だもん」
「えっ、トンボって秋じゃないの?」
私達の会話を聞いて、奏多さんがクスッと笑う。
「俺達、昆虫も詳しいぞ。な、清春」
星だけじゃないんだ。
「秋は、アキアカネ。いわゆる赤トンボ」
奏多さんに教えられる私に、「都、知らないんだ」となんだか自慢げな清春君がかわいくてたまらない。