溺愛ドクターは恋情を止められない
「あっ……」
思わず声が出てしまったのは、反対側からカルテに視線を落として歩いてくる高原先生を見つけたから。
どうしよう……。
どんな顔をして会ったらいいのかわからない。
だけど、隠れるところもない。
引き返すのはあまりに不自然だと思い、思い切って歩き出した。
先生は相変わらず視線を下に落としたままで、私の横を通過した。
奇跡だ。
気づかれなかった!と思ったのも、束の間。
「今、隠れるところ探しただろ」
背中越しに聞こえるのは、たしかに高原先生の声。
立ち止まらないわけにはいかなくなった。
「あ、あの……すみませんでした」
先生の顔を見るのが怖くて、振り向きざまに頭を下げる。
「なにが?」
なにがって……。