溺愛ドクターは恋情を止められない
日中は暖かくなってきたとはいえ、夕方になってくると急激に温度が下がって冷える。
しかも、天気が良かったせいか、冷え込みが余計に身に染みる。
エレベーターを降りると、スタスタ歩いて行ってしまう先生の後を、ビクビクしながらついて行く。
やがて部屋のドアを開けた彼は、ためらう私を手招きして呼んだ。
でもやっぱり……。
酒井先生のような素敵な彼女がいるというのに、私が部屋に上がるわけにはいかない。
「すみません、帰ります」
小さく頭を下げくるっと向きを変えると、彼は駆け寄ってきて再び私の腕をつかんだ。
「冷えてるんだから、温かいコーヒーくらい淹れてやる」
「でも……」
「酔っぱらって寝たくせに?」
顔が赤くなるほど恥ずかしい。
先生の前で、服まで脱いだことを思い出してしまった。