溺愛ドクターは恋情を止められない
「だからモルヒネをたくさん使って、痛みを抑えて……。それでもまだ痛みの方が強くて、顔を歪めて……」
「松浦……」
勝手に視界が曇ってくる。
それでも、話すのをやめられなかったのは、きっと誰かに聞いてほしかったから。
「ごめんなさい」
「いい。続けて」
彼は私にティッシュの箱を差し出すと、神妙な面持ちになった。
「最期は息も絶え絶えなのに……幸せだったって。少しは、患者さんの役に立てたかなって、涙をこぼして。でも、私には寂しい思いをさせたね。ごめんね。って謝るんです」
ティッシュを取って、涙を抑える。
「そうじゃないのに。たしかにうちは父がいなかったから、寂しいことはたくさんありました。参観日だって、めったに来てもらえなかったし、夜勤のある日は、ひとり震えながら眠ったこともありました。だから、お仕事辞めて! と言ってしまったことも」