溺愛ドクターは恋情を止められない
どうしよう。
過去の思い出が一気に溢れだしてきて、胸が苦しい。
「あっ……」
気持ちを落ち着けようと一度深呼吸すると、彼が不意に私を抱き寄せた。
初めて出会ったあの日、仮眠室で抱きしめてくれたように。
「全部……全部吐き出せ。ずっとひとりで苦しんできたんだろう?」
彼は本当に外科医なの?
震える心に寄り添ってくれる彼は、まるで心療内科医の様。
彼の大きな胸の中でうなずき、再び口を開く。
「でも、わかったんです。そんな母が誇りだったんだって。他の子のように、たくさん遊んでもらったことはなくても、そうやって仕事にプライドを持って、一生懸命働いている母が大好きだったんだって」
母を失うとわかるまで、私は反発ばかりしていた。
そう気がついたときには、母は、もう……。