私の世界が色づく話

雨の日は気分もガタ落ちで
だるい。だとかつまんない。だとか、
そんな言葉しか出てこなかった。

友達曰く水色という色の傘をさし

学校に行くために歩いていた。


ふと前を見ると

今までいなかったはずの

男がいた。


私は一瞬周りの音が消え去った気がした。


男の背中に見入っていた。


その男に触れてみたくなった。

だんだん歩く速度が早くなっていることに気がついた。

もう手を伸ばせば届く距離で

そっと手を伸ばした。



ー…そのとき私は驚きを隠せなかった



「え…今すり抜けた…?」

私は自分の手をガン見していた。
そのとき

頭上に視線を感じ

パッと頭をあげると

さっきの男が私の顔を見ていた

「ひっ…!!?」

冷や汗が出て、うまく息が出来なくなった。

ー…すっと

その瞳に吸い込まれそうになり

バッ!っと顔を背けた

そして私は早足でその場をさった。


触れられなかった恐怖。


生まれて初めて色を見たいと思った驚き。


ドキンドキンと心臓がうるさい。


「…っ!なんなのっ!?」

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