こんな私、私じゃない。でも私・・・
「勝手にオアシスにするなよ。それにワイン飲んだだろう?」

新城さんはスマホを片手に戻ってきた。

「オアシスだね。いつも遅くに一人で来るのに今日はどういう風の吹き回し?」

席を立ち、ショーリさんはニヤリとしていた。

「うるさい。食事したいって思ったらここしか浮かばなかった」

「へぇ~ふーん。いいこと教えてあげよう」

ショーリさんは私に近寄り意外なひと言を口にした。

「タクが女性を連れて来たのは初めて」

そう言うとウインクして去っていった。

「そうなんですか?」

なんか私、ドキドキしてる。

もしかして私のこと?

「会社の近くだから、デートには不向き」

即座に打ち消される。

たしかにデートではありません。

私って対象外なんだろうな・・・

まっいっか、お互いに食事の相手がいなくて今、ここにいるわけだからよしとしよう。

「それにここでは気を遣いながら食べたくないから、デートには使わないね」

気を遣いながら食べたくないから?

「私は気を遣わないってことですか?」

「そういうこと」

喜んでいいのかどうなのか・・・

恋愛対象にはならないってことだよね?

「私も新城さんに気を遣わないようにしますね」

「遣ってた?」

「年上だし先輩なので」

「遣わなくていいよ。その方がラクだから」

「わかりました」

そして、私たちは気を遣わず、お互いの都合が合えばよく食事をした。

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