こんな私、私じゃない。でも私・・・
早川さんは冗談ではない口調でいつもより少し低い声で言った。

私は二人のやり取りをただ見つめているだけ。

何も言えないし、早川さんがそういう理由もわからない。

「何を言ってる?」

すぐるの声も早川さんと同じようにいつもより低い声だった。

「神村さんのことになるといつもの新城さんじゃないね・・・」

早川さんの声音は元に戻っていた。

すぐるはフッと笑った。

「そうかもな・・・こいつ、自分のしてることにあまり自覚がないから・・・」

と、言うと私の顔を見た。

私?

きょとんとしてしまった。

何の話?

「へぇー気づいてるんだ」

早川さんは楽しそうにそう言った。

「ああ、『水曜日のイケメン』だろう?」

そう言われてやっと気づいた。

私の友達が男性って知っているんだ。

「えっ?あっ・・・すぐる・・・」

あっ、ちゃんと言わなきゃ。

「浮気するなら気づかれないようにしろよ」

と、私の頭に手を乗せた。

「浮気なんてしてない」

私は必死で答える。

「二人っきりでご飯・・・俺が他の女と二人でご飯行ったらどう思う?」

あっ・・・

「ヤダ」

そう言った私の顔を覗き込んで、ニヤリと笑ったすぐる。

「そうだろう?」

「ごめんなさい」

ただ謝ることしかできない私。
< 106 / 214 >

この作品をシェア

pagetop