こんな私、私じゃない。でも私・・・
部屋の前ですぐるが鍵を開けた。

私はこの家によく来ている。

でも合鍵は持っていない。

私が先に一人でこの家に来る時は鍵を預かって開けることはあっても返していた。

「合鍵がほしい」と言えば渡してくれるかもしれない。でも私は言わなかった。すぐるから渡したいと思って渡されたいと思っていたから。

私に対しては思っていないようだけど、今までの彼女をこの家に連れてきたことがないのは「居座られるのがイヤだったから」って聞いたことがある。合鍵を渡されたら嬉しさのあまりずっと居座ってしまいそうでそんな自分が怖いと思ったいた。

すぐるは玄関に入って、鍵を靴箱の上にいつものように置くと靴を脱いでスリッパを履く。

そしていつもなら先にリビングに入っていくのに私が上がるのを待ち、私のバッグを渡すように手を出した。

「どうかした?」

すぐるのいつもと違う行動に少し戸惑った。でも素直にバッグをすぐるに渡す。

「いや」

そして一緒に廊下を歩き始め、部屋をドアを開き反対に持っていた二人分のバッグとワインをその場に置いた。

「こっち」

すぐるは私の腰に手を添えて部屋を入るように促した。

えっ!?

私はすぐるを見上げた。

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