こんな私、私じゃない。でも私・・・
「向かいのマンションが来月完成する。美沙はそこの8階を現住所として届ける」

ん?

「借りるってことだよね?」

「いや、分譲マンションなんだ」

分譲マンション?

買うってこと?

「買うの?」

背中から抱きしめられてる手を解いて、クルッと回転してすぐると向き合った。

「俺の姉貴が買うんだ。買うんだけど、仕事の関係で住めないから代わりに住んでって」

ええっ!?

「俺はここに今まで通り、美沙は向かいのマンションに引越して住むのはここでって考えたんだけど、ダメかな?代わりに住んでって言われても荷物は置くだけで住まないけどね。姉貴も了承済みだから・・・」

いつの間にそんな話しをお姉さんとしたんだろう?

「すぐる・・・いつからそんなこと考えていたの?」

最近考えたって感じではないような気がした。

「ん?さぁ~いつからかな」

すぐるはニヤリとした笑みを浮かべた。

「教えてくれない感じ?」

「いつかね」

「そうやって『いつかね』って何回も言われてるけど?」

最初にご飯食べた時から結構言われてる気がする。

「そうだっけ?」

と、またニヤリと言葉は覚えてないって言っているのに、覚えてるけど言わないよ。ってそんな感じの顔。

「もう・・・『いつか』はいつなの?」

私は少し頬を膨らませた。

「可愛い顔して」

膨らませた頬にすぐるの手が触れた。

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