こんな私、私じゃない。でも私・・・
「美沙・・・向かいのマンションが完成する前に俺の姉貴に一度会ってね」

頬に触れたままの手。

私の頬はもう膨らんではいなかった。

「えっ!?おね・え・・さん?」

私は動揺を隠すことが出来なかった。

確かにお姉さんが買うマンションに書類上は住むことになるわけだし・・・

頬から頭の後ろに手を伸ばすとぐっと引き寄せた。

私はすぐるの胸に頭を預けた。

「うん。いちよマンションの持ち主だから。『どんな人なのかくらい知る権利はある』って主張されたから・・・」

「そう・・・だよね・・・」

でもすぐるのお姉さんに会うなんて緊張以外の言葉は出てこないかも・・・

「心配しなくてもいいよ。そんなに緊張することでもないし」

私が緊張するって考えてることわかってくれてるんだ。

「でも・・・私をなんて言うの?」

なんて紹介されるんだろう?

「同居人とでも言った方がいい?」

すぐに顔を上げて首を横に振った。

それはイヤ。

「心配しなくてもちゃんと言ってあるよ。『俺が一緒に暮らしたいと初めて思った人』って」

俺が一緒に暮らしたいと初めて思った人・・・

そう心の中で呟くとあまりにも嬉しくて嬉しすぎて、すぐるに抱きついた。


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