こんな私、私じゃない。でも私・・・
「俺と一緒に暮らすって言ったの?」

あっ・・・

すぐるは私の顔で言っていないことに気づいた。

「じゃ俺から言っとく。近いうちに会うだろうから」

「お任せします」

どんなふうに言うのか気になるけど、任せてしまおう。

弟に「彼氏と一緒に住むから」なんてちょっと恥ずかしくて言えないかも。

信号が青になり歩き始めた。

「ねぇすぐる?」

まだ甘えた声を出している私。

すぐると一緒にいる時はホントに今までの私じゃないなと思ってしまう。

「どうした?」

すぐるの声にぎゅっと腕を組んだ。

「なに?」

私の行動にびっくりしたようにすぐるの声が聞こえた。

「ちょっと甘えたくなっただけ」

酔っているけど自分がこんなにもすぐるに甘えられる自分が不思議。

「そんなこと言ったら、また今日も寝かせられないけど?」

そう言われて思わず俯いてしまった。

「返事がないのはOKってことだよね」

「えっ!?いや、違う」

慌てて顔を上げて言った私の言葉は聞く耳を持たずにすぐるは「さぁ~早く帰ろう」と、私の背中を軽く押して早く歩くように促した。


すぐるに甘えられることが出来る自分がとても好きだったりする。

こんなふうになれるなんて思ってなかった。

すぐると一緒にいられたらと思う。

そんなことを考えてしまう。

すぐるとずっと一緒にいたい・・・


またその夜、眠りについたのは外が明るくなりかけていた。

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