こんな私、私じゃない。でも私・・・
「うん、わかった」

すぐるに笑顔を向けられたけど、内心ではもう既に緊張していた。

「そんなに考え込まなくても大丈夫だよ」

私の緊張を感じ取ったようですぐるが優しく言葉を掛けてくれた。

「うん、ありがとう。でも緊張する」

すぐるは顔を向ける。

「大丈夫だよ。あっもしかしたら、英明さんも都合が合えば来るかも」

英明さん、お姉さんの恋人。

「シャワー浴びてくる。出て来たら美沙も直ぐにね」

立ち上がりそう言い残しリビングを後にした。

「何が直ぐにね、よ・・・もう・・・」

そう呟きながら立ち上がり、キッチンに向かう。

何かするわけではないけど、冷蔵庫を開けて見たりする。

「・・・もう・・・」

自分が落ち着かないことをすぐるのせいにして少し怒ってみたり、一人でドキドキが止まらない。

これはお姉さんに会う緊張じゃないのはわかってる。

すぐると過ごす夜。

自分自身を抱きしめてみたりする。

こんなふうになっている自分に驚くけど、今をイヤだなんて思わない。

今までの私はなんだったのだろう?

すぐると過ごす夜をこんなに待っている自分がはしたないと思ったりもする。

でも誤魔化すことなんて出来ない。
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