こんな私、私じゃない。でも私・・・
週末に今必要なものを持ってすぐるの家に引越してきた。

今日からはここで暮らす。

いつもすぐるがいる。

その夜はショーリさんのお店「Sieg Mond」で二人だけのお祝いをした。

「改めて、今日からもよろしく」

ワイングラスで乾杯をする。

「こちらこそよろしくお願いします」

ひと口含んだ後にグラスを置いて頭を下げた。

「と、言ってもあまり変わらないけどね」

最近はすぐるの家にずっと泊まっていたし、変わらないと言えば変わらない。

今日からは「泊まる」じゃなくて「私の家」になる。

「でも違うの。すぐるの家じゃないて『私の家』でもあるから・・・」

「そうだな。まだ美沙のところを解約しないとダメだよね。向かいのマンションが出来ると色々進むけど、これからだね」

向かいのマンションには取りあえず荷物を置いて住むのはすぐるのとこ。

向かいのマンションに住む話をすぐるにされたけど、それは少し躊躇いがある。

まだ決めかねている。

「姉貴に会う予定だけど」

引越しが終わったらすぐるのお姉さんに会う約束をしている。

「あっうん・・・いつになりそう?」

「今度の水曜日でどう?」

「水曜日?水曜日なら問題ない。定時に上がれると思う」

水曜日は全社的に残業なしで帰るようになっている。

「俺も定時で上がれるようにするから・・・あっそれと・・・」

すぐるは何かを言いかけた。
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