こんな私、私じゃない。でも私・・・
「どうしたの?」

私が手を止めてすぐるを見上げた。

「正式発表はまだ先だけど、プロジェクトチームはチームの役割を終える。で、俺は情報システムから異動になる」

えっ!?

異動?

「どっ、どこに異動?」

私は動揺を隠せなかった。

「そんな心配しなくていいよ。本社にはいるし、早川のところだから・・・」

早川さん?

「経営企画部?」

「そう。早川に前から誘われてたし、システムは楠木さんに任せるよ」

楠木さんの名前を久しぶりに聞いた気がする。

聞いても何とも思わないのはすぐると一緒にいるからかな。

「前は断ってたんでしょう?」

「最初はね。でももう断る理由がないし異動することにした」

「最初は断る理由があったの?」

「あった。こうして美沙と一緒に居れるようになったからもう断る理由がない」

えっ!?

どういうこと!?

すぐるはワイングラスを持ち飲み干した。

「どういうこと?」

フッと笑ったすぐるはワインを注いだ。

「最初に早川から誘われた時はまだダメだったんだ」

そう言いながらパスタを食べ始めた。

「意味がわからない」

「後でね」

すぐるはそれ以上は今は言わないって感じでパスタを食べ続ける。
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