こんな私、私じゃない。でも私・・・
「ショーリもムネも独身だから、一種の出会いだろう?」

「そうだけど・・・残念ながら奈々と瑠美は結婚してるから・・・なんかすぐるがそういうこと言うなんて意外」

「そう?確かに、他人の出会いがどうのなんて今まで思ったことないかもな。美沙が居て俺にもそういうことを思える余裕が出来たのかもな」

私がいることで余裕が出来たなんて言われると嬉しくてしょうがない。

確かに面白かったかもしれない。

私の友達とすぐるの友達が出会って付き合ったりとかしたらそれはそれで楽しかったかも。

「すぐる、改めて今日からよろしくお願いします」

グラスを持ってすぐるに向ける。

「こちらこそよろしく」

すぐるもグラスを持ち、グラスの重なる音色がとてもよい響きだった。

二人で微笑みあって残りの食事をしようと思った時に、ポケットに入れていたすぐるのスマホが鳴った。

表示を確認したすぐるは私に「ムネから」と伝えて席を立った。

すぐるが言った通りムネさんから連絡があったようだ。

暫くして戻ってすぐるは席に座った。

「ムネがその日は休み取るから何時でもいいとか言ってた」

ええっ!?

わざわざ休みを取るの?

「姉貴に会う前の日はちょっとやめて次の週にしようか?」

あっそうだ、水曜日にお姉さんに会う約束をしている。

「その方がいいな」

「じゃ後で連絡しとくね」

そう言って食事を済ませ、帰り際にショーリさんにそのことを伝える。

「また連絡するから、ワインありがとう」

私も「ありがとうございます」と隣で伝えた。

「いえいえ、じゃ楽しみにしてるから、また連絡して」

ショーリさんの笑顔に見送られ私たちはお店を後にした。
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