こんな私、私じゃない。でも私・・・
「人聞き悪いですね。早川ですよ」

「早川ね、まっそういうことにしといてやる。その会議のせいで黙々と資料作り。お前はもう終わってそうだな」

「そうですね」

すぐるは終わってるんだ。

早く終わらせないと・・・

「終わってるなら今日飲みに行くか?」

高田課長がすぐるを飲みに誘った。

「せっかくのお誘いですが、今日は予定がありまして・・・」

すぐるが丁寧に断る。

「なんだよ。もしかして女か?」

「もしかしてってなんですか?」

「いや、お前から女の話しを聞いた記憶がないから」

「そうですか?」

きっとみんなが聞き耳を立てているに違いない。

そんな気がする。

「で、いい女か?」

高田課長は会議の資料は終わっているのだろう。

楽しそうにお喋りは続く。

私は視線を感じて顔を上げた。

すぐるはそれを待っていたようにほんの一瞬私に微笑んだ。

すると、高田課長に近寄り内緒話のように二人だけの会話になった。

何を言ってるんだろう?

「そうかわかった」

高田課長はそう言うと他の話をし始めた。

気になる。

いやいや、これを終わらせないと。

私はパソコンに目を向けた。

もう少しで終わる。

< 183 / 214 >

この作品をシェア

pagetop