こんな私、私じゃない。でも私・・・
「あっ私、すぐるからのメール見てなくて・・・」

慌ててバッグの中を探そうとしたけれど、すぐるは私の手を取った。

「わざわざ見なくても俺はここにいるから大丈夫。1階の階段下、ここで待ち合わせって連絡だから・・・」

すぐるは優しく微笑んでいて、私も恥ずかしさがあるけど微笑んだ。

「行こうか?姉貴を待たせてしまうから・・・」

すぐるは取った手を離そうとない。

思わず見上げたらすぐるも私も見ていてぎゅっと握りしめた後に「やっぱりダメだよな」と言いながら離した。

「あっ管理部のフロアーに来たのって私がメール返信してないから?」

会社のビルを出て駅に向かって歩き始めていた。

思い出して聞こうと思っていたことを尋ねた。

「早川が資料が先に欲しいって伝えてきてって言ったから・・・まっそれは俺がスマホばっかり見てたから早川が呆れてなのか気を遣ったってとこかな・・・わざわざ伝えに行かなくても内線でもいいわけだし・・・」

元はと言えば私が返信をしてないからすぐるがスマホを見ていたってことだよね?

「全然メールに気付いてなくて・・・」

「近藤主任に言われて会議資料作ってたんだろう?」

「そうだけど・・・」

「久しぶりに美沙が仕事してるところを見れたよ」

「すぐるがプロジェクトの方に行ってからフロアーに来ることってほとんどないから新鮮だった。みんな嬉しそうだったね」

そう言えば髙田課長に何を言ったのだろう?


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