こんな私、私じゃない。でも私・・・
葵さんはあっという間に帰っていった。

私はすぐるを見上げて何も言えなくて、でもようやく出た言葉。

「どういうこと?」

今まですぐるから聞いた話と全然違うことになる。

今日会うのだって『どんな人なのかくらい知る権利はある』ってお姉さんに言われたって言ってた。

「ああもう、余計なことを・・・ちゃんと説明する予定にしてたのに・・・」

すぐるはきっと言おうと思っていたことを先に言われたので、何から話したらいいのか考えている様子。

「ゆっくりでいいよ」

聞きたいことは山ほどあって焦る気持ちもあるけど、すぐるが話そうと思ってくれていたのは明らかだからゆっくり待つことにした。

「ありがとう」

すぐるはそう言って少し考えてから口を開いた。

「前に言った通り元々は姉貴が『マンション買う』って言いだして、即行動の人だからすぐに申込してきて・・・でも『やっぱりやめる』って言った時にちょうど同じ販売会社が向かいのマンションを建築するのを知ったから、契約者と物件を替えて俺が契約した」

葵さんが決めたマンションは向かいのマンションじゃないんだ。

「どうして、葵さんがって私に言ったの?」

きっかけは葵さんだったかもしれないけど、すぐるが買うんだよね。

「美沙が・・・」
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