こんな私、私じゃない。でも私・・・
巧みな男
それから私たちは今まで通り食事をし、新城さんのマンションで一夜を過ごす関係が続いた。

付き合っているのかと問われたらどう答えるのだろう?

こういう関係を付き合っていると言っていいのか・・・

休みの日にデートをするわけじゃない。

私は土曜日の朝、目が覚めたら新城さんを起こさないように一人で帰っていた。それがこういう関係を続けていくことに必要なことだと思っていたから。

でも新城さんの方が先に目が覚めたらどうするんだろう?と、思ってはいた。

そして、その時が訪れた。

「今日も帰るつもりか?」

と、ベッドから下りようとした私の腕を掴み、引き寄せた。

えっ!?

「帰さない」

そう言うと私の首筋を唇が下から上へと這っていく。

「しっしんじょうさん・・・」

「帰さない」

新城さんは這っていた唇を私の唇に重ねた。

この人のキスは私を違う私に変えていく。

「・・・んっ・・・あんっ・・・」

フッっと笑った新城さんは巧みに私を操っていく。

「なんでいつも勝手に帰ってるんだよ」

私を愛撫しながらそんなことを聞いてきた。

「・・・帰った・・・方が・・・いいと・・・思って・・・」

甘い愛撫と共に私をもてあそぶ。

「なんで?」

「・・・なん・・・でも・・・ああっ・・・」

「こうやって朝を楽しもうとしてるんだから、これから勝手に帰るなよ」

そう言うといつものようにありとあらゆるところに刺激を与え、私を溺れさせた。

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