こんな私、私じゃない。でも私・・・
私はその日の朝、初めてシャワーを借りてリビングに入った。

「送るからコーヒーくらい飲んでいけよ」と、言われた。いつもリビングのドアを開けるだけで中には入っていなかった。ただ見ていた以上にリビングは広かった。

「広さはどのくらいですか?」

コーヒーを入れてくれている新城さんに聞こえるように訊ねた。

「20帖くらいかな?」

1LDKのLDKが20帖ってどれだけ広いの?

キッチン前にカウンター、ダイニングテーブルはなく、ソファーはL字型の何人座れるのかってくらいのスペースだった。その前にはガラステーブル。背の高い本棚にはギッシリ本が入っていて、パソコン用のデスクの他に書斎スペースがあった。

「一人で住んでるんですか?」

初めて来た時に同じことを聞いた気がする。

「前にも聞かれたな。一人だよ。なんで?」

入れたコーヒーをガラステーブルの上に置いた。

「ありがとうございます。この間は一瞬見ただけで広いと思ったけど、やっぱり広いから・・・」

ソファーに座った新城さんは私にも「座ったら?」と、声を掛けてくれた。お言葉に甘えて座る。

「たしかに一人には広いかな。早川は緒方さんと住んでるし、他の人たちも二人で住んでる人多いから」

「そうなんですね」

もう一度、ぐるっと見わたして、入れてくれたコーヒーカップを手に取った。


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