こんな私、私じゃない。でも私・・・
私は毎週金曜日に「会いたい」と、連絡をした。

新城さんは必ず応えてくれる。

でも食事をする時間は取れないので、まさしく「カラダの関係」。ベッドを共にして二人ともいつのまにか眠っている。お互いにお互いを堪能していた。でも前と違うことは土曜日の朝に帰らなくなったこと。朝一緒に新城さんの家で過ごすようになった。

必ずコーヒーを入れてくれる。

「今日も美味しい」

毎週必ず同じことを言っている気がする。

「そう?それはよかった」

と、新城さんも同じことを毎回言う。

で、二人で微笑み合う。

土曜日の朝のひととき。

このまったりした時間がなんかとても最近好き。

何処かに出かけるわけではない。

お昼くらいにはいつも送ってもらっていた。

何処かに出掛けようとかそんなことは決して言わない。言えない。

言えなかった。

言いたい気持ちがないわけではない。

でも言えなかった。

新城さんの返事が怖かった。

このままでいい。

そう思っていた。

いつまでこの関係が続くのかと考えないわけではない。

私が「会いたい」と、言わなければ終わってしまう。それはわかってる。新城さんはきっと何も言わない。

それがわかっていても手放すことが出来なかった。私はそれほどまでに新城卓という男に巧みに操られ、溺れていた。

でもこの気持ちは脆い、何かがあれば簡単に崩れてしまうようなそんな気がしていた。






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