こんな私、私じゃない。でも私・・・
コンコン

ノックをすると「はい」と、中から声が聞こえた。

「失礼いたします」

と、ドアを開けながらそう言いながらメンバーを確認する。

やっぱり新城さんだった。

ああこうやって新城さんを見るの久しぶりだ。

「ああいいよ。後はするから」

と、人事の課長が席を立ってこちらに歩いてきた。

サイドテーブルに置くと予備の為の砂糖とミルクとマドラーを手に取った。これは必要ない。

「はい、お願いします。失礼いたします」

と、頭を下げて応接を出ようとした。

「神村さん、ありがとう」

人事の課長にお礼を言われた。コーヒーを入れたお礼とミルクのお礼だろうか。

「いえ、失礼します」

後は全員がブラックなので伝える必要もないので、それだけ言うと応接を出た。


久しぶりに新城さんを見た。

一瞬、こっちを見たような気がした。

気のせいかな・・・

新城さん・・・

なんかぎゅっと締め付けられる気持ちがこみ上げてきた。

会わなければいいのに会ってしまったらダメだ。

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