こんな私、私じゃない。でも私・・・
誠実な男
私がシャワーを浴びてリビングに入ると、新城さんがちょうどコーヒーを入れてテーブルに置くところだった。

「どうぞ」

私に向けてそう言ってくれた。

新城さんの淹れたコーヒー。美味しくて好き。

「嬉しい。ありがとうございます。あっシャワーありがとうございました」

私はコーヒー前のソファーに腰を下ろした。

コーヒーカップを手に持ち、香りを楽しむ。

いい香り。

「わざわざシャワーのお礼なんていいよ。使いたいときは勝手に使っていいから」

そう言われても困る。でも上手く言えない。

「わかりました。ありがとうございます」

コーヒーを一口飲んだ。

「今日も美味しい」

ホントに美味しい。

「そう?それは良かった」

いつものやり取り。

二人で微笑みあい、なんかとても幸せな気分になった。

やっぱりこの時間好き。

このまま一緒にいられる。

とても嬉しい。

「今日は大丈夫なの?」

新城さんがそう言った。

「えっ!?」

私は新城さんを見つめてしまった。

「誰かと会う予定はないの?」

「ありません。新城さんこそ大丈夫なんですか?」

私は新城さんだけなんです。

「えっ俺?大丈夫だよ。今は忙しいから約束ほとんど入れてない」

そうなんだ。

なんか一瞬ホッとしたのと約束しなくても連絡したら会える人なんだろうなぁ~とか思ったりして少し落ち込んだ。

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