こんな私、私じゃない。でも私・・・
どのくらい経ったのか、新城さんのキスはとまらない。

私は自分からは言いたくないと思っていたけど、でも今なら言える。

「・・・好・・・き・・・」

私は首に手をまわして、唇が一瞬離れた時に言葉にした。お酒を飲んでいる時でもベッドの上でもない。

新城さんが他に誰もいないというなら、私もちゃんと言いたい。例え新城さんの気持ちが“好き”じゃなくても・・・

「えっ!?」

新城さんは驚いて唇をはなした。

「えっ美沙、いま・・・」

私は首に手をまわしたまま引き寄せた。

「いいかげん気づいてよ」

さっき新城さんが言った言葉を返した。

「えっ!?俺のこと?えっでも・・・」

新城さんは驚きの色から変化し、柔らかい表情へと変わっていく。

「ありがとう」

私の首にまわした手を解き、ぎゅっと抱きしめてくれた。

でもやっぱり、新城さんは“好き”とは言ってくれない。言葉はくれないらしい。

「美沙、ひとつ聞いていい?」

抱きしめられたまま。

「はい」

ぎゅっと抱きしめられながら・・・

「『りっくん』って誰?」

えっ!?

私は顔を上げた。

どうして!?

どうして、りっくんって・・・

「よく寝言で言ってる。寝返りを打って俺に抱きついてよく『りっくん』って・・・誰?」

まさか寝言で言ってるなんて・・・

「誰だよ。『りっくん』って・・・」



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