こんな私、私じゃない。でも私・・・
お互いに別に誰かいると思っていた。でもそうではないとわかった二人。

あまりにも恥ずかしくてうつぶせになった何もまとっていない背中に無言で唇が這ってくる。

我慢出来ないくらいに唇がゆっくり時間を掛けて這っていき、小さい痛みを感じる。

「・・・やっ・・・」 

逃れようとカラダを動かしてもそうはいかない。

「・・・誰にも・・・」

新城さんがその後の言葉は続けず唇と舌だけで背中に這っていく。

「・・・っあっ・・・」

声を上げたらもう我慢出来なくなった。

私がカラダを動かそうとすると今度は新城さんが私のカラダを仰向けにした。

そして、じっと私を見つめて、私も同じように見つめて、目を閉じた私にキスが落ちてきた。

新城さん・・・・・・

「美沙」

甘く名前を呼ばれた。

閉じていた目をゆっくり開けると、またじっと見つめられていた。

「美沙」

もう一度名前を呼ぶと、唇が首筋へと下りていく。私は目を閉じた。

新城さんは唇と舌でゆっくりと時間を掛けていく。

「・・・あっん・・・新城さん・・・」

焦らされて私はもっと触れてほしくなる。

「名前、呼んで」

初めて言われた。

私は新城さんを名前で呼んだことがない。
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