こんな私、私じゃない。でも私・・・
躊躇った挙げ句、あまりにも恥ずかしくて私はイジワルを仕掛けた。

私が発したのは甘く優しく呼んだ。

「タク」

ショーリさんが呼んでいた呼び方。

すぐにチッっと舌打ちが聞こえた。

「呼ばないならいいよ」

そう言うと新城さんは手と指の動きを加えて私のカラダに触れていく。

でもいつもなら触れてくれるところには触れない。

首筋と同じように肩や二の腕に唇と舌をゆっくり時間を掛けていく。

手と指は反対の腕に触れていく。

こんな二人の時間に必要以上に腕に触れることがあっただろうか?

「新城さん」

そう呼んでも何も言ってくれない。

唇と舌が先ほどとは違う私の左側の首筋へと移動した。

同時に手と指は右腕へと移動した。

さっきと同じようにゆっくりと時間を掛けていく。

ただそれだけのことなのに私はもう体が熱くなる。

でも触れてほしいところに触れてくれない。

「新城さん・・・」

また呼んでも新城さんは何も言わない。

「新城さん・・・」

何も言わないて新城さんの首に片手をまわした。

「お願い・・・」

新城さんは顔を上げて私をじっと見た。

「じゃ名前呼んで・・・二人の時に『新城さん』って言っても返事しない」

見つめられている。

恥ずかしい・・・


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