赤いりんごの青い果実


「あー…笑ってる」


『え?う、うん』


「俺その顔好きだよ」



へにゃ、と
マスクをしていても分かる、
彼の笑顔



『あ、ありがと』


「前髪…まとめればいいのに
あぁ、ほら。やっぱり。
綺麗な顔してる」


無造作に分けた長い前髪を
朽木君が持ち上げてこちらを見る


『そ、そんなこと…ない、よ』


顔を褒められたことなんて
初めての経験で、

どうしたらいいのか分からず
少し照れてしまう


< 112 / 200 >

この作品をシェア

pagetop