振り返って、キス




Γこ、こいつ…っ!」





Γくそっ!」





男たちが慌てたように、走って逃げていくような足音が聞こえる




それがどんどん遠ざかって行った




Γうっ…ひっく…」




怖くて怖くて、止めどなく涙がポロポロ




私、情けないな…



でも、なんだかこの胸は気持ちがいい



温もりに包まれていて、私は妙に落ち着いていた。






Γ…大丈夫?」




私が落ち着いた頃に、



上からそんな声が降ってきた





Γす、すみませ…っ」




慌てて両手で顔を覆いながらその腕から離れる




しゃ、シャツ、濡れてないかな…




私の涙でね…





Γいいけど…」




助けてもらったのに、泣いた顔を見られたくなくて、





なかなか顔を覆っている手を離せない




恥ずかしいよ…






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