カタブツ上司に迫られまして。
それからお互いに頂きますと言ってから、ご飯を食べ始めた。

とりあえず、イカとレタスと玉ねぎのオイスターソース炒めに、キュウリと梅干しを見つけたから和え物にしてみた。

お味噌汁は乾燥ワカメの手抜き。

それから、茄子のお漬け物を切って、後はタッパに保存されていた佃煮とか煮物を小皿に並べた。

黙々と食べながら、テレビでお笑い芸人さんがネタを披露しているのを、見るわけではないけれど、聞いている。

最近はお笑い芸人さんがたくさんテレビに出ているなー。

見ること自体は少ないけれど、独り暮らしは寂しいから、家に帰ると聞いている事が多い。

そして、たまにおかしなフレーズに笑ったりして、いつの間にか見ていたり。

そんな中で、涼やかな鐘の音が聞こえて縁側を振り返ると、縁側に風鈴がぶら下がっていた。

なんだか、これぞ日本の夏的な、風情と懐かしさを感じる。

蚊取り線香の匂いでもあれば、まさに夏真っ盛りだよね。

そうして振り返ると、どこか嬉々として炒め物を食べている課長に気がついた。

「……イカ。お好きなんです?」

「いや。別に?」

課長はキョトンとして、それからにんまりと笑った。

「思っていた以上にうまい。炒めもんにレタスはビックリしたけど」

あ。口に合ったんだ。それは良かったかも。

お母さんのお料理美味しいし、課長も自炊していたって聞いたから、少し緊張したけれど……大丈夫そう。

微笑んだら、課長が何かを考えるように黙り込んで、片方の眉を上げた。

「なぁ、鳴海」

「はい?」

お味噌汁の味は、お母さんのとは違って、うちの味だけれど。
不味くはないって思って貰えればいいか。

そんな風に思いながらお味噌汁を飲む。

「笹井由貴になるか?」

飲んでいたお味噌汁を思いきり吹き出した。
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