カタブツ上司に迫られまして。
とにかく、上野君がお刺身定食、私が焼き鮭定食、課長は肉じゃが定食を頼んで、それぞれ食べ始めた。

嬉しい。久しぶりの鮭だわー。

でも、気になる事はさっさと聞いてしまおう。

「ところで、見方を変えたら、どうバレバレなんですか?」

課長が顔をしかめ、上野君が笑う。

「うん。この間、本当に無意識に鳴海の手を握ってたし、もしかしてと思って見ていたらさー」

「上野……」

超低温の声に、上野君の笑顔が固まった。

「俺はからかうのは好きだが、からかわれるのは好きじゃない」

「あ……ですよねー」

「まぁ、バレて少し気楽になったか」

「あ。そうですか? そうですね、課長って、一人で考え込むっぽいですもんね。女子社員には怖れられてるし」

「それは鳴海にも言われた」

そんなこと言われてもねー。
私は無表情の人に萌える人じゃないし。

考えていたら、上野君がどこか納得したように頷いた。

「そっか。そう言えば、鳴海って今は課長の実家にいるんでしたね。距離感も近くなりますよねー」

「まあ……」

「もしかして、毎日、実家に行っているんですか?」

行っていると言うか、普通に帰ってきているよね。

「お袋、今は入院中だから……」

「ああ。そっか。じゃ、鳴海は課長の実家で一人なんですかー」

一人じゃ無いけどね。

思ったけれど、確かに勘違いしておいてもらった方が楽だね。

課長と上野君が食べているのを眺めながら一人で頷く。

確かにキスはしたけれど。
そして、プロポーズに近いことを言われた後に、好きだと言われたけれど。

言われたけれど、どうすれば良いんだろう。

どうすれば……と言うのは行動だよね。

どうするも何も、どうなんだろう……と、考えるのが先かな。
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