カタブツ上司に迫られまして。
夏川さんは、私が経理部時代の先輩で、物腰のとても柔らかい、いつもニコニコと優しくしてくれる先輩だった。
私は一年経たないうちに監査に移動になったし、夏川さんは妊娠して休暇に入ったし……本当に久しぶりかも。
柔らかい口調と、二児の母とは思えない、ほんわりとした可愛らしさは変わらないなぁ。
以前と違って髪は肩で切り揃えられているけれど、白い肌といい、ピンクの唇といい……まさに、可愛い女の子そのものって言うか。
抱き締めちゃいたくなるくらい、可愛い先輩だよね。
考えていたら、背後で戸が開く音がして、慌てて避けたら課長が出てきた。
「何しているんだ。鳴海……」
言いかけて、課長が経理部のメンバーに気がついて微かに眉を上げる。
それから無表情に私を見下ろすと……
「……遅れるなよ」
ポンと頭を叩かれて、課長は上野君と帰っていった。
加代子がぐいっと私の腕を掴む。
「今の課長? 笹井課長?」
「見ての通りだけど……」
「え。課長って、あんな柔らかく話す人だった? それに何、あんたに随分と自然に……」
「いつもと変わりないと思うけど」
何をどうしてそんなに驚くのかわからないけれど、夏川さんが笑いながら加代子の肩を叩いた。
「笹井君はいつもあんな感じでしょう? それに私たちも会社に戻らないと……昼休み終わっちゃうわよ?」
夏川さんはふんわりと笑いながら、加代子と私に向かって小首を傾げた。
確かに遅れる訳にもいかないから、歩きながら会社に戻る。
もともといた部署のメンバーだけど、加代子と夏川さん以外はあまり話をしたこともない子達ばかり。
何となく遠慮しながら会話を聞きつつ、当たり障りなく愛想笑いを浮かべてやり過ごす。
そうしてエレベーターで別れてから、違和感に眉を潜めた。
夏川さん。
課長の事を“笹井君”って呼んでいた。
同じ課で同僚だった原本さんが、課長を呼び捨てにするのは何となく解る。
実はああ見えて、IT情報管理課の課長だって後から聞いて驚いたけれど……課長なら、もっとまともな格好でいてほしいけど……とりあえず解る。
だけれど、夏川さんはずっと経理部にいたはずだし、課長と接点があるとも思えないし。
なんだろう。違和感が……。
私は一年経たないうちに監査に移動になったし、夏川さんは妊娠して休暇に入ったし……本当に久しぶりかも。
柔らかい口調と、二児の母とは思えない、ほんわりとした可愛らしさは変わらないなぁ。
以前と違って髪は肩で切り揃えられているけれど、白い肌といい、ピンクの唇といい……まさに、可愛い女の子そのものって言うか。
抱き締めちゃいたくなるくらい、可愛い先輩だよね。
考えていたら、背後で戸が開く音がして、慌てて避けたら課長が出てきた。
「何しているんだ。鳴海……」
言いかけて、課長が経理部のメンバーに気がついて微かに眉を上げる。
それから無表情に私を見下ろすと……
「……遅れるなよ」
ポンと頭を叩かれて、課長は上野君と帰っていった。
加代子がぐいっと私の腕を掴む。
「今の課長? 笹井課長?」
「見ての通りだけど……」
「え。課長って、あんな柔らかく話す人だった? それに何、あんたに随分と自然に……」
「いつもと変わりないと思うけど」
何をどうしてそんなに驚くのかわからないけれど、夏川さんが笑いながら加代子の肩を叩いた。
「笹井君はいつもあんな感じでしょう? それに私たちも会社に戻らないと……昼休み終わっちゃうわよ?」
夏川さんはふんわりと笑いながら、加代子と私に向かって小首を傾げた。
確かに遅れる訳にもいかないから、歩きながら会社に戻る。
もともといた部署のメンバーだけど、加代子と夏川さん以外はあまり話をしたこともない子達ばかり。
何となく遠慮しながら会話を聞きつつ、当たり障りなく愛想笑いを浮かべてやり過ごす。
そうしてエレベーターで別れてから、違和感に眉を潜めた。
夏川さん。
課長の事を“笹井君”って呼んでいた。
同じ課で同僚だった原本さんが、課長を呼び捨てにするのは何となく解る。
実はああ見えて、IT情報管理課の課長だって後から聞いて驚いたけれど……課長なら、もっとまともな格好でいてほしいけど……とりあえず解る。
だけれど、夏川さんはずっと経理部にいたはずだし、課長と接点があるとも思えないし。
なんだろう。違和感が……。