カタブツ上司に迫られまして。
「私、燃えちゃう?」

「かもな?」

「受け止めて……くれる?」

「くどい。お前は……っ」

思いきり課長に向かって飛び込んだら、慌てた声と、文字どおり受け止めてくれた力強い両腕。

「だから……っ! お前はどうしていつも突然なんだよ!」

「課長だって突然だもん! 今までそんなそぶりもなかったくせに、いきなり好きだとか言い出して!」

「仕方ねぇだろうが! 俺はお前の上司なんだよ。だいたいどうやって接点持てば良かったんだよ!」

「細かい……」

「聞こえてるぞ、お前」

低い声に顔を上げると、小さく笑った課長が見えた。

「今のは聞こえるように言いましたもん」

「だろうな……」

そう言って、課長の指先が唇に触れる。

息が感じられるくらいに近づいて、弧を描いた唇に、課長の唇がそっと重なった。

下唇を微かに噛まれて、驚いたら舌が入り込んでくる。

とても深く、息を継ぐ暇もなく塞がれる唇に、くらくらしてきた。

だから少し離れた瞬間に、課長の胸を押し返す。

「か、かちょ……っ」

「いい加減、名前で呼べよ」

「きゃ……っ」

唐突に抱き上げられて、課長の首に捕まった。

「か、かか課長!?」

「課長は却下だ」

抱き上げられたまま廊下を進み、課長は足で襖を開いた。

「あ……あの。えーと? 何を考えてます?」

「何って、自分のものにしようかと考えてる」

しれっと言われて、身体中熱くなる。

「ちょっと待って! それは早すぎますから!」

「早くねぇよ。いつまで待たせるつもりだよ」

「いや。だって、そう言うの考えたのって、さ、最近でしょう?」

上目使いに課長を見ると、ニヤリと笑って首を振った。

「お前が俺に初めて飛び込んできたのは、もう3年前の話だな」

言いながら、布団の上に寝かされた。
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