カタブツ上司に迫られまして。
***

今度は目が覚めると明るかった。

明るくて、やっぱり暑い。

その理由の大半は、絡み付くように抱き締めてくる、課長の腕のせいだとは思うけれど。

どうしようかな。寝ているのかな。

背中から抱え込むようにして抱き締められていて、それが解らない。

眠っていたら起こすのも可哀想だし、だからといってこのままでいるのは恥ずかしいし。

悩んでいたら、耳元で笑われた。

「起こせばいいだろ」

その声は寝起きとも思えないくらいにハッキリとした声。

振り向くと、ニヤニヤしていた課長と目が合った。

「お……起きてたんですか」

「お前がもぞもぞしてっから起きた」

「ご、ごめんなさい」

「もういい時間だろ? シャワー浴びて出掛けるか」

抱擁が解かれて、課長が起き上がると、途端に涼しくなる。

かけられたタオルケットで身体を隠して、Tシャツを引き寄せている間に、課長は身支度を整えていた。

「つぅか、その前に朝飯かな」

「あ。ちょっと待っていてもらえれば、作ります」

「あー……いい。俺が作る。ちょっと無理させた記憶もあるし」

言われて、Tシャツを握りしめながら顔を赤くした。

「お前もいい加減、敬語はやめとけ」

ポンポンと頭を叩かれて、課長はそのまま部屋を出ていった。

そう……だね。何だかいろいろされたよね。

久しぶりのことで、最初はちょっと痛かったし、大丈夫になると本当に、まぁ……。

35歳の男の人は、思ってた以上に若いと思う。
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