カタブツ上司に迫られまして。
とりあえず、課長が作った有り合わせと言うわりに、しっかり一汁三菜の朝御飯を食べて身支度を整えると、鍵を閉めて家を出た。

今日の課長は、ボーダーのカットソーの上に黒のシャツを羽織り、ダメージ加工されたジーンズにスニーカー。

何だかお洒落してる……のかな?

「課長……」

「祐……」

睨まれて、眉を下げる。

「祐さん。どこに行くんですか?」

「ですかも無し」

こだわるなぁ。

「そんなに急に変われないですから」

「だよなー。あんなきっかけでもなけりゃ、近づけもしなかったくらい生真面目だもんな、お前」

……悪かったですね。

「お母さんのところにお見舞なら、何か買っていきましょう。ゼリー食べたがっていましたから、フルーツゼリー買いましょう」

「……いつの間にかすげぇ仲良くなってるし」

うん。だって、お母さんはニコニコ話しやすいんだもん。

「まぁ……見舞いだな。お前の返事次第では報告」

「報告?」

「笹井由貴になるのはいつだろう?」

ぽそっと呟かれて、顔を真っ赤にして立ち止まった。

「つーか、今のまま見舞いに行ったら、速攻でバレると思うけどなぁ。お袋侮れねぇし」

「い、いってらっしゃい!」

言ったとたん、ガッシリ手首を捕まれた。

「俺一人が行ったら、余計怪しまれるだろうが!」

「いえ。大丈夫ですよ。課長は一度もお見舞に行ってないんですから! ほら、忙しい息子が休みにお見舞に行くのは当然だから!」

「お前はもう少し頭使え! お袋はそもそも感づいているんだよ!」

え。ええ~。

だから、私はお母さんに課長頼まれたの?

そんな困る。って、いろいろありすぎて混乱するー。
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