カタブツ上司に迫られまして。
「そもそも、お前が鈍感なのが悪いんだろーが!」

「課長が怖いのがいけないんだもん!」

「俺は真面目に仕事してるだけだろうが!」

「私だって真面目に仕事してただけだもん!」

言い合って、お互いに睨み合って、それからお互いに眉を下げた。

「……何だか、お前は調子が狂う」

「私は色々ありすぎて、頭が狂いそうですよ」

「しょうがねぇだろ。チャンスだったんだから」

視線を彷徨わせながら、課長……祐さんはボソボソと言うから、ちょっと苦笑する。

「何だか情けないの」

「悪かったな」

ううん。悪くないよ。

するりと腕を組んでぴったりとくっつくと、驚いたような顔が見えた。

「私は、こっちの祐さんが好きだからいいんです」

するすると素直に出てきた言葉に、自分で言っていて照れた。

「……照れんなよ。俺まで照れるだろうが」

「一緒に照れてくださいよ。一人だけ恥ずかしいなんて嫌」

「いや。どうだろうな、それ」

そんな事を言いながら、歩き始める。

……笹井由貴、か。

「うちのお父さんは手強くないですけど、うちの弟は手強いですよ?」

呟いたら今度は祐さんが立ち止まり、まじまじと私を見下ろした。

「よし。俺は北海道に行って挨拶すれば良いんだな?」

「いえ。私は弟は手強いと言っただけです」

にっこり微笑むと、とてつもなく冷たい視線が返ってきた。

「このドS女っ!!」

祐さんの叫びと、私の笑い声が、青い蒼い空に吸い込まれていった──















2015/8/23 fin.
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