ラブエンゲージと甘い嘘
……でも、お見合いパーティ初めてじゃないよね?

訂正しても柚葉のことだ。「そうだったっけ?」で終わるだろう。

私は楽しそうに話をしている柚葉を、係りの人から受け取ったウーロン茶を口にしながら一歩引いた場所でみていた。

会場を見渡してみると、たくさんの男女が笑顔で話をしている。今日はどのくらいのカップルが誕生するんだろうか?そしてそこから何組が夫婦として人生を共にすることになるのだろうか?

司会者が今日のパーティの進行について説明しているのを聞き流しながらそんなことを考えていた私の目が、ある男を捉えた。

「あれ……あの人って」

それまでぼんやりと時間をやり過ごそうとしていた私の脳内に、ひとりの男性が飛び込んでくる。

やっぱりさっきの人だ。ついさっき出会ったばかりの人、見間違えるはずない。

まさか、あの人もお見合いパーティに来ているなんて思ってもみなかったな。あんなモテそうな人でも出会いを求めてるんだ。

遠目でみても彼のかっこよさはわかる。しかもたくさんの人の中にいると際立ってそう見える気がする。

そしてそんな彼の周りには、綺麗な女の子がたくさんいた。みんな真剣に彼に話しかけているのが見て取れる。そして彼も笑顔で女の子たちに答えていた。

やっぱり、周りの女の子が放っておかないよね。

タクシーの一件がなければきっと私も同じように、あの取ってつけたような笑顔に騙されていたかもしれない。
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