ラブエンゲージと甘い嘘
小声で話を続ける私たちに、周りは訝しげな表情を浮かべている。
「ちょっと、あなたいきなり何なの? 急に割って入って」
最初は黙って聞いていた女の子たちも、不満を口にし始めた。
近くにいた取材の人たちも、私たちの様子を興味深そうに見ていた。
相手がこの場を離れない以上、みんなの前で真実を明らかにするしかない。マスコミだっているんだ、下手なことはできないだろうし、ここで公になればこの先この男は詐欺を働くことができないはずだ。
私は意を決して、拳をぐっと握り締めた。
「だって、この人結婚詐欺……うぐっ……ふがっ!」
私の必死の訴えが、男の大きな手のひらに飲み込まれていく。私は後ろから口を覆われていて、反対の手で腰をがっちりとホールドされている。
「いやだな、どうやらこの方体調が悪いみたいですね。あ、熱もあるみたいだ!」
熱は額で計るもので、口元を覆っただけではわからないはずだ。なのに周りの人はなぜだか納得したような様子を見せている。
「そうなんですか、さすが千賀(ちが)さんだわっ! こんな些細なことにも気が付くなんて」
周りにいた女の子のひとりが、目を輝かせながら熱い視線を男に向けている。
騙されちゃダメだって。そもそも私、熱なんて出てないし。
「うー!! うぅうー!!」
首を振って否定しようとするが、それさえもできない。
「ちょっと、あなたいきなり何なの? 急に割って入って」
最初は黙って聞いていた女の子たちも、不満を口にし始めた。
近くにいた取材の人たちも、私たちの様子を興味深そうに見ていた。
相手がこの場を離れない以上、みんなの前で真実を明らかにするしかない。マスコミだっているんだ、下手なことはできないだろうし、ここで公になればこの先この男は詐欺を働くことができないはずだ。
私は意を決して、拳をぐっと握り締めた。
「だって、この人結婚詐欺……うぐっ……ふがっ!」
私の必死の訴えが、男の大きな手のひらに飲み込まれていく。私は後ろから口を覆われていて、反対の手で腰をがっちりとホールドされている。
「いやだな、どうやらこの方体調が悪いみたいですね。あ、熱もあるみたいだ!」
熱は額で計るもので、口元を覆っただけではわからないはずだ。なのに周りの人はなぜだか納得したような様子を見せている。
「そうなんですか、さすが千賀(ちが)さんだわっ! こんな些細なことにも気が付くなんて」
周りにいた女の子のひとりが、目を輝かせながら熱い視線を男に向けている。
騙されちゃダメだって。そもそも私、熱なんて出てないし。
「うー!! うぅうー!!」
首を振って否定しようとするが、それさえもできない。