ラブエンゲージと甘い嘘
司会の女の人は社長と呼ばれた男からの言葉を聞き、頬が高揚しているように見える。もしかして、この人の裏の顔知らないの?

「じゃあ、君。あっちで休もう」

驚いてぼーっとしていた私の腕を持って、千賀と呼ばれた男が歩き始めた。

「ちょ、ちょっと待って」

会場に留まろうとする私の耳元で千賀さんが早口でささやく。

「俺を詐欺師呼ばわりしたこと、謝らないつもりか。話はあっちでゆっくり聞く」

その低い声に脅された私は、そのまま引きずられるようにして会場の外へと出た。

扉が閉まる瞬間に、心配そうにこちらに駆けてくる柚葉の姿が目に入った。


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