俺様紳士の恋愛レッスン
十夜の後ろで困り顔を見せていたはずの優愛さんは、フローリングに横たわる。

長い髪が遅れて舞って、蒼白の顔を覆った。



「……おい」



十夜は包丁をシンクに投げ、彼女の横にしゃがみ込む。

顔に掛かった髪を払うと、血の気のない顔が現れた。



「おい」



呼び掛けに、微かに漏れるうめき声。

十夜は華奢な身体に腕を回すと、上体を包み込み、持ち上げた。

そこからダラリと垂れる、か細い腕。



「おい、目開けろ!」



蒼白の顔を覗き込み、肩を揺すり、十夜は必死に呼び掛ける。



「……ッ優愛! 優愛!」



その叫びを聞いてはっとした。


呆気に取られている場合ではない。

恐らく、この症状は。



「貧血! 動かさない方がいい」



そう言って彼女の横にしゃがみ込むと、十夜は見開いた目で私を見つめる。

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