俺様紳士の恋愛レッスン
「貧血……?」

「そう、貧血からくるめまい。私も一回倒れたことあるから」



『貧血』『めまい』という緊急性のない言葉と、腕の中で苦しむ彼女との差異に混乱しているのか、十夜はおろおろと視線を泳がせる。



「たぶん休めば治るけど、倒れた時に頭打ったみたいだから、脳震盪(のうしんとう)起こしてるかも」



血の気の引いた頬に触れると、優愛さんは徐(おもむろ)に薄目を開き、確かに私を見つめた。

どうやら意識はあるようだ。



「近くに大学病院あるから連れてこう。私はタクシー呼ぶから、十夜は優愛さんをソファに寝かせておいて。揺らさないように、そっとね」

「あぁ……分かった」



困惑の色を滲ませつつも、十夜は言われた通りに優愛さんを抱きかかえた。

その背中がソファへと向かうのを見届けて、リビングを出る。

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