俺様紳士の恋愛レッスン
「分かった」



意外にもあっさりと承諾した十夜は、まさに青菜に塩状態だ。

何か励ましの言葉はないかと考えていると、近付いてくるスリッパの摩擦音に気付き、私たちは同時に顔を上げる。



「遠山さんのお連れ様ですね。ご案内します」



十夜はすかさず立ち上がると、看護師の元へと歩み寄る。



「あの、彼女の容体は……」

「心配いりませんよ」



看護師の微笑みを受けて、彼の表情から緊張が溶けていく様が見て取れた。

強張っていた肩も、徐に落ちていく。



「ただ少し、お話がありますので……」



そう微妙な含みを持たせ、私たちを先導するように看護師は歩き始めた。



「あの、それはどういう」

「詳しくは医師からお伝えします」



ぶり返した十夜の焦りをピシャリと切り捨てた看護師は、『診察室1』と書かれた扉をノックし、静かにスライドさせた。

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