俺様紳士の恋愛レッスン
「普段と違う行動を取る……分かりやすく避ける……」



シャワーの雨に打たれながらブツブツと念じる。

まさかこんなにも早く実践しなければならないだなんて、思ってもいなかった。



「大事なのは『これから生まれる財産』なんだから」



最後に化粧水で肌も心も引き締めて、気合い十分にバスルームを出た。



「エンちゃん、ご飯食べる?」

「あ、実はご飯食べてきちゃって。それに疲れたからもう寝ちゃおーかなって」

「え? まだ9時だよ?」

「うん、でも久々に動いたから眠くって」

「そっか……分かった。おやすみエンちゃん」

「ん、おやすみ!」



一度もタカちゃんと目を合わせないまま、私は寝室へと逃げ込んだ。



「……あからさますぎたかも」



心臓がドクドクと音を立てている。

悪い人を意図的に演じたことなどないので、どうも加減が分からない。

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