俺様紳士の恋愛レッスン
「お前さ」



構えていたにも関わらず、ビクッと肩を震わせてしまった。

私は『閉』のボタンを連打しながら、振り返ることなく「ハイ」と返す。



「明日の夜空けとけ」

「……は?」



拍子抜け必至の言葉に、今度は簡単に振り返ってしまった。

十夜は腕を組み、いつも通りの無感情で私を俯き気味に見据えている。



「助けてくれたお礼に、今度こそ食事でもいかがですか、だってよ」

「優愛さんが?」

「あぁ」



十夜はそれだけ言うと、視線を床に落とす。

余りに抑揚のない声に、緊張よりも混乱が増していく。



「でも優愛さん、身体……」

「俺の言うことは絶対だろ?」



再び視線を上げた十夜。


眉間のしわは見当たらない。感情の色も拾えない。

けれど、敢えて確認するかのように言われたその意図は、嫌でも分かる。

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