俺様紳士の恋愛レッスン
「優愛、片付けは後で俺がやるから部屋で休んでて。少し疲れたろ」



そう言って優愛さんの頭を優しく撫で、微笑みながら顔を覗き込む遠山さん。



「そんな、大丈夫ですよ」

「いいから。無理はしないようにと先生に言われてるだろ?」

「……はい。ではお言葉に甘えさせて頂きます」



優愛さんは眉尻を下げて微笑むと、私に会釈をしてリビングを出た。

理想の夫婦像とはまさにこの二人のことを言うのだろうな、とぼんやり眺めていると、遠山さんがこちらにくるりと向き直る。



「篠宮さん、どうぞこちらに」

「あ、はい」



促されるがまま、優愛さんのものと思われる小振りのサンダルに足を通し、ベランダへと出る。


顔を上げると、漆黒に染まった空が私を出迎えた。

夏の霞みが星の瞬きを邪魔をするけれど、優愛さんの言う通り、抜ける風は梅雨を感じさせない清々しさだ。

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