俺様紳士の恋愛レッスン
「そっか。じゃあ逆に何を聞いてる?」

「えっ? っと……」



遠山さんは私の目線に合わせるように、上体を屈めた。

部屋から漏れるオレンジライトの優しさが、彼の黒髪をより艶やかに魅せて、思わずドキリとしてしまう。



「その……優愛さんのこととか、ですかね」



曖昧に濁らせたのは、もちろんその当事者の一人が私の隣にいるからだ。



「やっぱり聞いてるんだね」

「すみません、部外者なのに」

「いや、その逆」

「え?」



遠山さんは儚げに目を細めると、呼吸を置き、優しく微笑む。



「ありがとう、篠宮さん」



涼風がカーテンを攫(さら)い、彼を照らす逆光はゆらゆら揺らめく。

その美しさに飲まれそうになり、慌てて黒の空へ視線を逃がした。



「感謝される意味が分かりません……」

「端的に言うと、十夜と出会ってくれて、かな」

「は……?」



余計に意味が分からなくなり、眉をひそめた。 

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