俺様紳士の恋愛レッスン
すれ違いのタイミングを呪いながら、慌てて十夜に掛け直すと、2コールを経て通話へと切り替わった。



『おー』

「十夜! ごめん、お風呂入ってて」

『いや。あー……お前さぁ、ちょい外出てきてくんね?』

「え、今から? すっぴんなんだけど」

『ンなんどーでもいいからとりあえず出てこい。この前の自販機で待ってる』



相変わらずのジャイアンな言い草に「おい!」と思いながらも、正直に緩んでしまう口元が憎い。

頭に乗せたタオルをガシガシと揺すりながら、美容液兼下地のクリームを顔に叩き込み、マキシ丈のパーカーワンピを頭から被り、外へ出た。


逸る気持ちが自然と早足にさせる。

雨上がり、湿気を帯びた夜風が髪から熱を攫(さら)っていく。



「十夜!」



スラッと細いシルエットを見つけた途端、早足は駆け足へと変わった。

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